これは、なんでもない日常の
なんでもないひと時を
ふわりとたゆたう金魚の旅の物語。
まだ色を持たないそれが、
いつか運命の色に出会うとき。
たからものを抱きしめるように
金魚は色のベールをまとう。
星のきらめきに目を奪われれば夜空の色に。
舞い散る桜に頬を染めれば春の色に。
透き通る蝶の羽に自由を見れば、空の色に。
もし光のいたずらで
色づく金魚がちらりと姿を見せたなら。
それはきっと、ほんの少しの魔法をまとって
あなたに自慢しに来たのかもしれません。
『見て見て、この色すてきでしょう?』
それは星の降る特別な夜にだけ現れる、
妖精たちの秘密の楽園。
ひとからぽろぽろと零れ落ちたきらめきを、
ひとつふたつ、みっつ掬っておすそわけ。
指に、靴に、耳元に。
あるいは光の絨毯のように、楽園を彩って。
花が眠りから覚めるまで、あとすこし。
アトラクションに姿を変えたら、そこは。
ほんの少しの魔法が揺らめく、
小さな光の遊園地。